株式会社中村農園

レポート・球根情報



チリ出張報告(2003/6/7)

中村 慶吾

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
5月末にチリにて、球根圃場及び、施設、気候など、調査してまいりましたのでご報告いたします。

チリの気候
昨年の春(9.10月)はやや雨が多く、植付けは例年より1週間程度遅れました。 夏もそれほど暑くなく時折雨もパラパラと降ったようで、去年のように何日も30度を超え、 乾燥するといったことはありませんでした。秋も去年より気温が低めで、 特に地温が10度帯まで下がった時期は20日ほど早かったようです(去年が逆に遅かった)。 5月中旬に約5日間7℃くらいまで下がりましたが、現在は10℃前後のようです。(地温) チリの収穫期(6.7月)は去年同様、ラニ-ニャの影響で雨期が遅れると予想されており、 順調な収穫が期待されています。

ソネ社
より良い球根品質を目指して、換気乾燥機・選別機の増強、 また収穫から冷蔵までの流れにもさまざまな改良が見られます。
収穫から洗浄までの時間を短縮するため、処理能力に見合った量の収穫を行い、 洗浄後は十分に換気がされます。雨天により計画が遅れないよう、 収穫機は去年の10台より更に3台増やしました。
選別ラインも大幅に増強。去年大小2つのラインだったのに対し、 選別前に種球サイズや古茎を取り除くプレ選別ラインを設け、本選別ラインは大ライン2つとなり、 処理容量は大幅に増え、より正確な選別・品質チェックが可能となります。
この他、100人以上の労働者が機能的かつ安全に作業できるよう、 倉庫・冷蔵庫の床に球根の流れや配置図を描くなど、細かい点にも工夫が見られました。

畑と芽の状態
訪問時の畑はすでに全て葉が枯れて茶色で、 中には葉がなく茎が抜ける状態になっているものもあります。 去年取った芽のデータが役に立っているようで、収穫に適した大きさの芽になったとき、 古茎も抜ける状態になるよう、上手くコントロールされていると思います。 去年輪付の悪かった品種で、地上部が十分に枯れる前に掘られたものがあったようで、 この点も改善につながると期待しています。
秋の地温の下がりが早かったため、球根はすでにしっかりと硬く、 中にはものすごく硬いものもあります。
芽は品種によっての差はありますが、まずまずという大きさになっています。 5月初めの芽調査結果を見ると、芽長が昨年比80%程度となりましたが、 実際の長さはオランダ産等と比べて同じ程度であり、 逆に去年の芽がいかに大きかったかを感じます。

オソルノ・ピュエウエ地区の生産者
ファン・チューリップ(バンザンテンの委託生産)、 リカラーイェン(オランダのサンデ社の委託)、 ザザンバルブ(ボス社、オランダの切花生産者ヨープファンフェーンの委託)の3社があります。
今年度産は、以前お伝えしました通り、チリPQの厳しい検査に合格できたロットが少なく、 数量がまとまらない等の問題で、日本への輸出は難しいようです。 ここでは各社の詳しい報告は致しませんが、来年の為にも調査を行ってまいりました。

  ファンチューリップ社
去年から芽形成調査を継続しており、 より安定した球根生産を目指しています。地上部の枯れ方がやや遅れていますが、 芽もそれほど大きくなく、収穫時期を遅らせればいいバランスで収穫が行われると思います。 今後コンスタンタやディオラなどの品種も取り入れるようなので、期待しています。
  リカラーイェン社
現在のオソルノの他に、ロスアンヘルス(バルディビアより約300km北) の中山間部でテスト生産を行っています。 同ロット・サイズの球根を比較して見ることができましたが、 ロスアンヘルスの方が肥大化・芽形成ともに早いようです。 収穫後は両生産地の球根のテスト栽培を行って、 生育や輪付等で問題がないかをチェックする予定です。
  サザンバルブ社
冷蔵庫を1室増設し、プレ選別のラインも幅の広いものに変えて、 処理容量を改善しました。去年の成績が良かったので、 今後も安定した生産を続けてほしいと思います。