株式会社中村農園

レポート・球根情報



南半球産球根の状況報告(2004/2/17)

毎度お世話になっております。
1999年にNZ産球根が隔離免除化されて以来、輸入量は2000年に約200万球、 2001年約500万球、2002年約1200万球(この年にチリ産隔離免除化)と 毎年急拡大してきましたが、2003年産は2002年産と同程度で、本当に必要な方が必要量を ご使用になる言わば「安定期」に入りつつあるようです。
今般、2004年南半球産在庫及び予定単価表発行に際し、全般的な状況を以下にご報告申し 上げます。

1. 2003年産について

① 取り扱い実績とその効果
総輸入量は約1200万球で前年と大差なし。内、当社扱は約500万球で、 今日までに大過なく納品が完了できました事は、ひとえに皆様方のご理解とご協力の賜物と心より 御礼申し上げます。、品種別割合は表1の通りでした。又、表2は、 色物と白に大別し、月毎の納品実績を表わしたものですが、毎月バランス良く使っていただけた事が お分りだと思います。(余り細かくなる為、表は省略しましたが、)品種毎に見ても、一品種が 一時期に集中する事なく、分散出荷となりました。この事が、本来の目的である安全な切花栽培と (切花)品質の向上と相まって、12月末(03年南半球産球根による切花)初出荷以来今日まで “高値安定”につながっているものと推察致します。
尚、是か非かは、今後の生育状況を見守りたいのですが、1月植付にもオランダ産新球 (ターボ球を含む)ではなく、南半球産のご要望が多かったのには正直驚きました。

② 品質について
球根品質面では一部ブラックノーズ、バイラス問題等もありましたが、以前のようにオランダ産 冷凍球を遅くまで引っぱるのに比べれば、全体的には十分皆様方のお役に立っていると思います。 特にチリのソネ社産球根の力が大幅に改善し、高い評価をいただいた事にはホッとしました。
問題ロットについては、納品停止にしたものもありましたし、問題解決の為十分お話し合いを させていただくとともに、当該ロットを扱ったオランダ側業者全てを高知に呼び、実情を把握させ、 改善への具体的指示指導を行ないました。

③ お客様の評価と将来性
すでに述べましたように、日本全体での総輸入量は「安定期」に入ったようですが、冬花中心の 西日本のお客様においては、オランダ産冷凍球、(高価な?)国内養成球、(一部)オランダ 産新球から南半球産への転換は今後も順次進んでいくものと思われます。

2. 2004年産について

① 困難な品揃え
既にご注文を承っているものの確保を中心に、今の所約400万球の発注となっております。 南半球全体の生産面積は、250ha以上(オランダのオリエンタルは約1600ha)となり、 総生産量はかなりのものですが、品種毎の品揃えでは大変苦労しました。
まず、白系品種の生産量が色物に比べ、はるかに少なく、日本のお客様の需要を満たすのに 十分ではありません。
一方、色物とは言ってもスターゲザーやメロースター、シャンベルタン、ソルディラ、 ベルニーニ等々、日本での需要は無いかごく限られている品種が多々あり、日本向けの品種を 必要量確保する事はそれ程簡単ではありません。
商売掛かって恐縮ですが、品種毎の発注量には、(オランダ産に比べ甚だ)限度があり、必要な ものは早期にご用命下さる事をお勧めします。

② 価格
南半球産球根は歴史が浅く、生産のために新たに投資した施設、道具、ライセンス等の消却のため、 現状オランダ産に比べ高コスト生産であることは事実です。しかしながら、これらもオランダ産 を中心とする「世界のマーケット」の影響を避ける訳にはいきません。球根生産者にとっては とてもつらい年になりましたが、(しかしそれはオランダの生産者も同様!!)昨年までと 比べ大幅な値下げを求め、実現できました。
更に、冷凍賃を含むオランダ産球根の実際の球根代と比較して下されば、いかにお求め易く なったか、お分りいただけると思います。
又、弊社の建値は、港渡しでなく、弊社渡しでのご提示である事にもご注目下さい。
尚、既にご注文を承っております03年オランダ産からの変更は固くお断り致します。

③ お客様に鍛えられて
有効な働きをする南半球産といえども、03年産でもそれ以前にも事故球はありました。私達は それを指摘し、改善を求めて来ましたが、認識が甘かったり、対応や具体的な改善策について 納得できない会社やロットは需要が有っても扱わない方針を取りました。良いものは良い、 ダメなものはダメとの強い態度で臨みました。「完全」はあり得ませんが、更に品質を向上 すべく最大の努力を致しました。
この事こそ、地元に産地があり、毎日ハウスで生育状況を拝見し、お客様のご意見を承れる 情報量の多さ=当社の強みだと思っています。
又、本年も弊社社員を現地に送り、直接指導に当たるとともに、生育状況の把握、球根内の芽の 発達状況調査等々を行ない、皆様方にお伝えし、より役立つ南半球産球根に育てていきたいと 存じます。

④ チリ産フレッター品種

本年もチリのソネ社は、フレッター社のリアルトを含む新品種を生産していますが、取り引きに ついては詳細未定です。ちなみに、リアルトは昨年に比べショックな位大幅減産の模様です。 (03年産の取り扱いの際、フレッター社と輸出会社との間で、この品種の価値や人気について 意見のくい違いやコミュニケーション不足があったことが原因?)
今月フレッター社の経営幹部が来日し、(高知を含む)切花産地を訪問し、実情視察、切花農家 及び私達輸入業者との意見交換を行いました。
それらをふまえ、おそらく5月頃から取引(数量・価格等)の交渉が始まると思われます。 (急ぐと高く買わされ損との当方の思惑もあり…。) 交渉妥結次第改めてご案内致しますので しばらくお待ち下さい。
尚、当社が得た未確認の情報では以下のような品種が生産されているようです。
アルメリア、アルゼンチン、コルソ、ロワール、ナタール、ノッティンガム、リアルト、リベラ、 スペイン、トゥルマオ、ウィンザー、コモロ、コンカドール、マニサ