株式会社中村農園

レポート・球根情報



オランダ出張報告(20004/11/13)

中村農園レポート:2004年11月13日

中村 慶吾

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
11月上旬にオランダにて、球根の調査を行って参りましたのでご報告いたします。

・オランダの畑と球根の状態

11月上旬訪問時、外気温は日中13~11℃、夜間・早朝は5~8℃位で、 すでにオリエンタルの畑はほぼ茶色になっており、早いものは全ての葉が落ちて、 古茎が抜けやすくなってきていました。各地方によって気候がやや異なり、 最も寒くなる東オランダで枯れ方が早く、北オランダ、南オランダがそれに準じています。 10月の上旬まで、畑は緑でしたが、2週間前(10月の10~20日あたりから)気温が下がり (東オランダでは霜が降りた)この数週間で一気に枯れ始めた様子です。

04年の球根肥大はオランダの標準的な肥大と言えます。ただし、 過去2年間の生育が非常に良かったため(特に去年は11月が10月よりも暖かかったため肥大が続いた)、 比較するとやや劣ります。すでに、9月には鉄砲、10月中旬よりアジアティックとLAが収穫されていますが、 肥大はここ数年の結果に比べて劣り、大球は思ったほど球数が上がっていない状態です。 オリエンタルも概ね同様の収穫結果を予想しており、大球で不足感が出てきています。 大球が少ない要因として、昨年の大球の販売不振から生産者が(大き目の養成球を販売してしまい)、 小さ目の種球をやや密植したことも指摘されています。

球根のサンプルを掘り取り、さまざまな品種の芽形成調査を行いました。 2004年は9月の気温の下がり方がここ2.3年よりも遅く、芽形成のスタートは遅れたようで、 実際に、芽の大きさは過去の同時期調査と比べて、75~80%となっています。 04年オランダの秋の気候は標準的で、芽形成も標準的と言えますが、 過去2年の異常気象でできた芽がかなり大きかったため、比較すれば小さいということになってしまいます。

芽形成は品種ごとにスタート及びスピードが異なり、

コンカドールは早め、
次にカサブランカ、シベリア、イエローウィン
アクティバ、ソルボンヌ、メデューサは遅め。  などの順に芽形成が進んでいる様子です。

今後も芽形成が継続し、丁度良い芽の大きさになってくれると期待しています。

・現時点までの生育状態から推測される球根の性質

球根というものは本当に奥が深く、不明な部分も多いので、あくまで参考程度に考えていただきたいのですが、上述のとおり04年はオランダの標準的な芽ですが、芽の大きさ(特に茎部)や、気候状況から考えると、球根サイズの割に力がない(03年産に比べて、リン付き不足や軸が細めと感じられる)可能性があります。一方、肥大化がそれほどでないので、(スリムな)体に見合った十分な体力を持っているとの相反する意見もありました。

プラス面は、長期抑制におけるブラックノーズの発生は少ないだろうと思われることです。

・ オランダの収穫スケジュール

04年産のアジアティック、LAは作付け面積減少にも関わらず、需要の減退から販売が困難な状態で、生産者は様子をうかがいながら収穫を遅らせたり、結果的に収穫されないものもあると予想されています。アジア、LAの収穫が減ったことで、オリエンタルの収穫が早く始められることが懸念されますが、球根品質等を考えると十分な熟度に達するまで、なるべく遅い収穫が望まれます。輸出会社を通じて、生産者に理解と落ち着きをもって対処してもらいたいと思っています。

・生産者・輸出業社の努力

オニングス社は、すでに十分大きかった冷蔵庫をさらに倍近くまで拡張し、 球根冷蔵の効率化と掘り取り状態の違いによる、異なった冷蔵も行っています。 また、貯蔵量の少なくなる時期は、近隣の会社(野菜など)に空き冷蔵庫を貸し出し、 建設コストの回収と、冷蔵コスト削減を計っています。

バンザンテン社はピートモスやケースなど資材のコストダウンを行うとともに、 球根から撤退した生産者から安く選別ラインを購入し、自社での選別効率を倍近くに高め、 自社生産球根を短期間で処理することで品質の低下を防いでいます(長期冷蔵の保存性を高めるには、 適時の冷蔵が必要であり、そのためには処理ラインのスピード化が必要)。

ザボー社はこのところオランダで上昇しているパート労働者の人件費を大幅に削減するため、 1人でこれまでと同箱数の洗浄を行える、独自設計の球根(輸出用)洗浄機を作り上げました。 現地の植物検疫官も認める洗浄力だそうです。

また、これまでも新品種の販売拡大に力を入れていたザボー社は、今後大手育種会社のフレッター社と提携し、 同社の新品種のテスト栽培および販売を強化していきます。

オランダの代表的な生産者とも面談しました。やはり、人件費の上昇は経営を圧迫してきており、今後選別等倉庫作業の機械化・効率化をさらに進めて、作業人数を大幅にカットする必要があるそうです。また、これまで新品種に多額の投資を行ってきましたが、利益をもたらしたものはほとんどなく、今後は品種理解に十分な時間をかけていくようです。

・マーケット状況

アジアティック、LA、鉄砲は全般的に大苦戦。相場は低迷し、生産者は赤字に悲鳴を上げており、 来年続けられるかも心配。

一方オリエンタルは生産面積の減少により、需給がひっ迫。今月になっても中国圏やイタリアからの 需要も伸びているようで、高値安定。人気品種の未販売分については(買う側からすると) 法外とも思えるような値段が聞かれました。

カサブランカ芽
シベリア畑
ソルボンヌ芽
ソルボンヌ球
ソルボンヌ畑
メデューサ芽
メデューサ畑