株式会社中村農園

レポート・球根情報



チリ出張報告(2005/1/19)

中村農園レポート:2005年1月19日

中村慶吾

時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
1月上旬、チリにて球根圃場及び情勢調査を行って参りましたので、ご報告いたします。
南半球において、1月は真夏に当る季節です。訪問時、圃場では摘蕾作業が行われていました。
今年の気候はやや不安定なようで、10月以降、曇りで涼しい時期と、晴天で暑い時期が交互に訪れ、夏の間も時折 雨が降ることもあります(地球温暖化やエルニーニョ現象の影響か?)。訪問時の気候はやや曇りが多く、ソネ社の位置するバルディビア辺りで、(今の時期としては涼しい)最高気温25℃、最低気温13℃くらいでした(暑い時は最高気温が28-30度くらいまで上がります)。球根の肥大と十分な力をつけるため、今後の天候の回復を期待しています。
代表的な品種で試し掘りをしたところ、外リンペンが10枚弱、内リンペンが20枚弱と、この段階で収穫時に近い枚数になっていました。球根自体の大きさは、まだ植付け時と大差無く、今後それぞれのリンペンが肥大し、販売サイズの球根になっていきます。

●各生産者の状況

ソネ社
(約98ha;昨年94ha)
去年よりも若干面積を増やしており、 来年の種球となるリンペンやティシューからの小球畑も充実しています。 生産品種の中でソルボンヌが最も多く、ついでシベリア、ティバー、シンプロン、マルコポーロなど、 品種構成は日本の需要に合った一般的な品種が中心となりつつあります。

委託生産である フレッター社の新品種は、タラゴナ・コルソなど(去年販売に苦しんだ) これまでの品種を生産停止にし、最近発表されたような新しいものを少量ずつ、多品種栽培しています。 本年のフレッター新品種は、通常のリンペンからの生産がなく、全てティシューから直接育った球根になります。 ティシューからの球根は肥大が良く、見た目も良いのですが、若すぎるためにリン付き不足になりやすく、 花飛び(bud missing)、葉焼け等を起こしやすい事をご理解の上で、お取り組みいただければと思います。

サザンバルブ社
(約60ha;昨年63ha)
去年までの生産販売が順調で元気です。去年に比べてリンペンや極小球から種球を作る目的の畑が増えており、来年の生産面積を増やす準備が出来ています。
シベリア、ルレーブ、マルコポーロ等の生産が多く、ティバー、ロンバルディアなどもあります。イエローウィンは種球が準備できず面積は去年の半分程度に減少、同様にソルボンヌも少なくなりました。(しかも大きな種球の生育を、抑制させるような作りなので心配。)
選別時に出たニ級品(根無し、キズ)や二芽球を使って、チリで300万本のユリ切り花生産を行っています。すばらしい品質とは言えませんが、気候が良いため元気に育っており、主にヨーロッパの量販店に契約販売されています。きれいな球根は販売へ、悪いものは切花生産で処分するというスタンスは、基本的には賛成できます。

ファンチューリップ社
(約23ha;昨年約20ha)
バンザンテンの委託生産でアクティバ、キャンベラ、ティアラ、ラグナ等、また、オランダの生産者との契約でスターゲザー、ヒルベティアなども生産しています。バンザンテン中心から、他社への展開も広げており、過渡期(!?)。サザンバルブ産と言われているイエローウィーンも今年は実際にはこの会社での生産が大半となります。

サンハーベスト社
(約15ha;昨年約12ha)
大型切り花生産者との契約でスターファイターが多く、次いでオランダの球根生産会社サンデとの契約栽培で、コルドバ、ナイロビ、ブリスベーン、サッポロなどが少量ずつ生産されています。サンデ社は近々球根生産から撤退することが決まっており、新しいパートナー探しは大変(?)。また、サンハーベスト自社所有の球根生産も始まっており、来年からリアルトの生産も始まるようです。チリで最も北に位置する生産者で、他産地に比べ 温度や日照に恵まれており、安定した肥大を期待しています。新天地での2年目の生産で、秋以降の温度の下がり方に合わせた、収穫後の処理が課題です。

サンアンドブリーズ社
(約20ha;約12ha)
チリで最も南に位置する生産者。エクスプレッション、メロースター、パンドラなどがあり、注目は今年から日本への輸出ロットを取得したウィルケアルベルティです(日本向けの大半が弊社取扱いとなります)。

チリで球根生産が始まってから、もはや“新しい産地”とはいえない年数が経ち マーケットに対応した 品種選定も進みつつあります。又、必要な設備が整えられ、各地域の土地や気候に応じた生産計画が 確立されてきました。
以前に比べ、生産者としての経験が感じられるようになり、安定した生産が出来てきたと思います。 オランダに比べて不安定な気候の中で、よりぶれの少ない球根品質を更に追求してほしいと思います。
また、オランダの生産面積が減少したことを受け、南半球への世界的な需要も高まっており、 生産及び販売拡大のチャンスと考えている生産者もいます。急な増産、また慣れや効率化に伴い、管理の甘さや、 収穫時の手抜きなどが起きないよう、今後も現地に足を運び、しっかりと調査・指導していきたいと思います。
ソネ社
カサブランカ
カサブランカ畑
コンカドール球根
シベリア球根
シベリア畑
シベリア畑
シンプロン
リンペン畑
ソルディラ
ソルボンヌ球根
ティシュー球用
ネットハウス
ティバー
パッキングライン
バルパライソ
ベラドンナ
マルコポーロ畝
リアルト
リアルト畑
ロンバルディア
畑とソネ社
 
サザンバルブ社
イエローウィン畝
イエローウィン畑
シベリアリンペン畑
シベリア球根
シベリア畑
ソルボンヌ
リンペン球
ソルボンヌ
リンペン畑
ソルボンヌ球根
ソルボンヌ
タイムアウト
マルコポーロ
マルコポーロ球根
リアルト
リンペン畑
ルレーブ
切り花生産
ネットハウス
切り花生産
シベリア13-14
         
ファンチューリップ社
アクティバ
アクティバ
アルマータ
イエローウィン
イエローウィン球根
キャンベラ
コンスタンタ
ティアラ畑
ティアラ
ラグナ
       
サンハーベスト社
サッポロ畑
スターファイター畑
ナイロビ
ブリスベーン
マルコポーロ
マルコポーロ畝
マルコポーロ畑
マルコポーロ球根 リアルト
リンペン
潅水設備
       
サンアンドブリーズ社
アクティバ
ウィルケ
アルベルティー
12-14
ウィルケ
アルベルティー
エクス
プレッション
パンドラ
メロースター
ロビナ
ロビナ畝