株式会社中村農園

レポート・球根情報



オランダ出張報告(2005/11/14)

中村農園レポート:

中村 慶吾

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
11月上旬(10/30~11/6現地滞在)にオランダにて、球根の調査を行って参りましたのでご報告いたします。

オランダの気候

今年のオランダは、植付け以降6月まで気温も高く、日照もあり 悪くないスタートを切りました。7月下旬から8月にかけては温度が低く日照も少なかったため、肥大不足が心配されていましたが、9月以降は例年に比べてかなり気温が上がり、日照にも恵まれました。
別紙にオランダの気候を月間でグラフに致しましたのでご覧下さい。

●月間平均気温は9月で1.5℃、10月は3℃も平年より高い!!
数字で出てくると本当に驚きですが、今年のオランダの秋は非常に暖かく、平均気温が3℃も高いというのはすごいことです。11月現在も例年よりはるかに高く推移しており例年月間平均気温が7-8℃くらいになるものが、今日現在までの平均で約12℃あります。世界的に温暖化が進んでおり、オランダにも大きく影響しています。もはやオランダは気候の安定した国とは呼べなくなりました。オランダ人は今年の気候をフランスのようだと言っています。

畑と球根の状態

05年オランダは上記の通りかなり秋が暖かく、球根にどんな影響がでているだろうと心配しながらオランダへ向かいました。
南オランダ(リンブルグ地方)、東オランダ(ドレンテ地方)、北オランダ、と主要な生産エリアにて調査を行いました。
訪問時の気温は日中15-18℃、夜間・早朝は7-8℃くらいでこの時期としてはかなり暖かく(10月30日は最高気温22℃もあり、オランダ人はビーチへ出かけたと興奮ぎみに話してくれたほど)、雲も少なく5月を思わすような気候でした。
畑は概ね茶色くなっていましたが、最も早いもので茎が抜け始めてきたばかりで、全体にここ2-3週間で枯れ始めた状態です。10月くらいまで薬剤散布を続けていた畑は(特に南オランダで)まだかなり緑が残っているものも見られ、枯れ方は例年に比べて1-2週間ほど遅れている印象です。
球根肥大は実際に掘り取りがされなければ分かりませんが、球根生産者の意見では極普通という意見が多く聞かれました。8月に気温が低く生育が遅れていましたが、9-10月で完全に取り戻したようです。現在収穫されているアジアティック・LAは概ね平年並みですが、大球がやや少なめという状況です。
畑にて様々な品種のサンプル球根を取り、芽形成調査を行いました。結論から申し上げると、芽の大きさは例年並~やや大きめです。03年がかなり大きく、04年は逆に小さかったのですが、今年はその間でやや大きめとなっています。今現在も暖かい気候が続いているため、芽形成は続いていると考えられ、今後の動向に注意したいと思います。
地温の下がりが遅いため、本年産オリエンタルの冷蔵上がりがやや遅れる可能性があり、今後、気候を見ながら慎重に判断していきたいと思います。
オリエンタルの掘り取りは11月下旬から始まります。収穫が始まるまでに、できるだけ早く温度が下がり、地上部が枯れ、球根が締まり、熟度が増して、収穫の際のダメージに対する耐久性ができることを期待します。 芽形成についても、今後さらに大きくなると、抑制まで冷凍保管したときの品質低下が懸念されるため、丁度いい今の段階でストップしてくれればと願っています。

調査球
サイズ(cm)
芽長
(mm)
芽幅
(mm)
葉枚数
茎長
(mm)
茎幅
(mm)
02年12月調査平均
17
30.4
9.7
52
15.5
6.2
03年11月調査平均
18
28
9.4

13.3
6.6
04年11月調査平均
18.7
22.8
7.4
35.6
10.3
5.3
05年11月調査平均
17.8
27
8.5
40.4
12.5
5.3

オランダの生産者のオーナー化

北オランダを中心とする規模の大きい球根生産者は、土質が良く、広大な面積もある南と東オランダの農家と契約し、球根生産を行っており、中には、地元北オランダでの生産がほとんどない人もいます。生産者というより、球根のオーナーという表現がぴったりきます。1オーナーは複数の契約農家を持ち、逆に人気の農家は複数のオーナーと契約していることもあります。

北オランダの生産者は、経験も長く、球根の性質について技術・知識を持っています。今回いくつかの生産者と話をする機会を持ちましたが、いずれも、今年の気候と収穫時期、収穫の際に注意すべき点をよく分かっており、落ち着いて対応している印象を受けました。 収穫後の作業との兼ね合いはありますが、臨機応変に適切な収穫をしてくれるよう、輸出会社を通じて働きかけをしていきたいと考えています。

球根市況

05年オランダ産の主要品種は、生産者・輸出業者側両方でほぼ完売となっており、追加で発注を試みると、とんでもない高い相場でしか取引ができません。畑の状態もほぼ枯れてきた現在、球根肥大は例年並(予想されている収量とほぼ同じくらいになる見込み)で、04年産のように肥大が進みすぎて、収穫期前に相場が垂れるといったことは起きていません。世界的には最終調整の若干の需要もあり、相場を高く支えている状態は変わりそうにありません。
話題は06年オランダ産へと移ってきています。05年産はオリエンタルを中心に、りん片面積が増加しており、さらに開花球面積の中にも、実際にはりん片畑と同等なものが相当含まれていることから、生産面積の極端な上昇が予想されます。球根生産者は、生産調整をしようなどという考えを持っていない様子ですから、相場の動向に注意して、できるだけ安く、良質の球根を皆様にお届けできるよう対応していきたいと思います。

■ご覧になりたい画像をクリックして下さい。拡大写真が現れます。

カサブランカの芽
カサブランカの球根
カサブランカの球根2
カサブランカの畑
クリスタルブランカの芽
クリスタルブランカの畑
シベリアの芽
シベリアの球根
シベリアの畑
ソルボンヌの芽
ソルボンヌの球根
ソルボンヌの球根2
ソルボンヌの畑
ティバーの芽
ティバーの畑
ティバーの畑2
ティバー球根
マルコポーロの芽
マルコポーロの球根
マルコポーロの畑
リアルトの芽
リアルトの球
リアルトの球根(下根)
リアルトの畑
ロンバルディアの芽
ロンバルディアの球根
ロンバルディアの畑