株式会社中村農園

レポート・球根情報



南半球出張報告(2010/7/6)

中村 慶吾

平素は格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
6月21日よりチリ、6月28日よりニュージーランドにて、全ての球根生産会社を訪問し、生育状況、収穫状況などを調査してまいりましたので、下記にご報告致します。

○チリ産

1.気候と肥大

・ 2009/10年のチリは全般に温度が低く推移しました。
・ 植付け時の天候は悪く、その後 遅霜が長く発生するなどの影響で、植付けは遅れ、遅いものは11月の中旬に植えつけられたものもあります。
・ 夏の気温は涼しく、日照はあったようです。
・ 生育遅れは3月以降の天候に恵まれ急速に回復しました。
・ 地域により状況が異なりますが、プイェウエ(サザンバルブの所在地)ではシーズンの平均気温が2度程度低く推移しました。

肥大については、下記の印象です。

 地方  気温  肥大  生産会社
 北  普通  良い  サンハーベスト
 中央  低め  やや良い  ソネ ・ チリボーレン ・ サザンバルブの一部畑
 南  低い  普通  サザンバルブ ・ サン&ブリーズ ・ モンテスベルデス

低温ぎみに推移したため、平年だとやや温度が高い地域の方が生育は良くなっているようです。
また、種球サイズが大きい方が密植ぎみに定植されている分、肥大が劣る傾向がありました(小球サイズと比較した場合)。
既にLA品種の収穫と選別は終了し、若干のショートで済んでいます。

2.芽形成と球根の力

今年もたくさんの品種の芽をチェックすることができました。下表は昨年調査との比較を%表示したものですが、全般に芽形成は遅めとなっています。
植付け遅れや、夏と秋の気温差が少なかったためか、芽形成のスタートが遅れた様子で、葉枚数が少なく、芽長/幅も特別大きくありません。色物品種の方が芽形成は進んでいる傾向にあり、逆にサンタンダーなど そもそも形成が遅い品種はやや未熟な感じが残っていました。品種差以外にも、植付け時期や、植付け密度の影響もあり、正直かなり複雑です。(そういう訳で、統計学的調査を毎年行っています。)
平年 芽が大きすぎる感のあるチリ産ですので、今年くらい(それでもオランダ産の標準レベル)が、適当と思いました。

昨年調査比 外リン片 内リン片 芽長 芽幅 葉枚数 茎長 茎幅
平均同サイズ 98% 106% 87% 80% 70% 84% 90%

○ニュージーランド

1.気候と肥大

植付け時期の気候はとても良く、多くの部分が9月内に植付けされました。 気温の推移は下記グラフを見ていただくと分かりやすいですが、全体が半月ほど遅れた形になっています。 夏までは温度が低かったのですが、秋が暖かく生育は後半まで続きました。

1月~6月の日照量(月平均)が、平年値171時間に対し、10年産は156時間で やや少ないこと、後半に温度が高めに推移したため、畑の枯れ方がやや遅れた事を考えると、球根の力は 昨年並み(平年より若干劣る)の可能性があります。
肥大についてはチリと似た傾向になっており、下表の通り 北島と南島で一定の差があります。

    肥大   芽形成  生産会社
 北島   良い   進む  アイランドバルブ
 南島北部   普通  やや進む  バンザンテン ・ バッカー
 南島南部   普通   普通  サザンフローラ

*芽形成については、上記のように産地によって進み方の差(毎年同様の傾向)がありますが、全体を平均してみると、昨年とほぼ同じ程度と言えます。

○雨の収穫とはたらく人々

訪問時のチリの収穫状況は約50%、ニュージーランドは35-50%程度でした。 今年は、両国とも収穫期に入ってから雨が多く、1週間で300mm程度降ったところもあります。“典型的なオランダの冬の気候”というのが、寒くて横殴りの霧雨が降るものですが、南半球の場合 霧雨ではなく、日本の雨と同じです。
丁度私が訪問した時には天候が回復してくれたので、雨に濡れることなく調査することができました。収穫も再開され、現在順調に後半の収穫がされているようです。

もうすぐ収穫できそうだ 古茎除去をする人たち

みなさんは農業者です。チリの言語で“マノ ベルデ”という言葉があります。緑の手です。日々変わっていく天候や条件の中で、狙った作物を作り上げるためには、机上の論理や 作業をコントロールするセンスも大事ですが、土に触れ、環境(天候)を肌で受け、生産物を見て感じる部分が必要です。特に園芸、さらには百合という植物は、その時々の判断をきちんと結果として表してくれるのが良いところなのだと感じています。
収穫量(追加やショート結果)の予測に公式はありません。私の予測の仕方もかなり複雑で、いろいろな違った角度と確度(信ぴょう性)の情報を掛け合わせ、いくつかのラインの交わるところを探すようなものです。現地で実際の球根をチェックできて良かったと思います。数値化し 客観的に調査することが重要だなぁと、環境の変化が大きくなればなるほど感じます。
2010年は、チリで地震が発生、ヨーロッパでは火山が噴火、日本やオランダでの低温(北極振動というそうです)。チリの養殖サーモンでは新種のウィルスが発生しているそうですし、九州の畜産の被害など、人ごとではないものです。
様々に環境が変わる中ですが、自分たちのやるべき仕事をきちんとこなし、今後とも皆様の収益につながる球根を納品できるよう頑張ってまいります !

選別ラインは黙々と ラベル/ 置き間違い防止策
2年栽培の方が芽が小さいなぁ 発芽ではなく葉芽です。

以上