株式会社中村農園

レポート・球根情報



チリ出張報告(2017/7/3)

お客様各位

チリ出張報告

2017年7月3日
株式会社中村農園
中村 慶吾

 平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
 6月27日~7月1日にチリを訪問し、球根の収穫状況や情勢を調査致しましたので、以下にご報告させていただきます。

 

① 世界的な気候変動はチリも同様

 2017年産の収穫期は、全生産地に共通して雨量が多く、特に6月中旬の2~3週間は収穫が遅れ、倉庫での作業が止まる日がありました。例年、南のバルディビアやオソルノは冬に雨が多いため、こうした天候には慣れていますが、今年は北のロサンヘレでも雨が多く、チリ全体の収穫の進捗度は40~65%程度で、1週間くらいスケジュールが遅れていると思います。
 今週になって収穫は再開していましたが写真の様に、トラクターの通った圃場の入り口は泥が深く、歩くのが大変でした。
 各生産者及び担当者のご協力で、日本向けロットを中心に、多くの圃場や収穫された球根をチェックすることができました。球根肥大は圃場によってまちまちですが、10~12月の雨や、1月の乾燥などそれぞれに一時生育が停滞する時期があり、控えめな印象と言えます。
 北部は5月に何度も霜が降りるなど、例年になく秋の気温が低くなりましたが、中・南部は逆に遅くまで温かく、枯れ方の進みも1週間以上遅かったと言います。
 シーズンを通して、高温、低温、雨、乾燥と、天候の変動が大きかったため、一律の見解は述べにくいのですが、気候以上に植付け密度の影響を感じました。

 

② 一緒に将来を考える相手

 次の2枚の写真は品種も種球サイズも異なりますが、左が密植、右は疎植と、一目で違いがわかります。現代の植付け機は、より均一に種球を撒くことができ、収穫サイズを4㎝以内(例えば16.17.18.19㎝)くらいに集約できます。
 左の密植が種球から5-6㎝の肥大。右の疎植が種球から7-8㎝の肥大でした。
 密度の差を考えると、左の方がよく太らせていると思います。どちらが良い品質かというのはまた別の問題です(ステレオタイプに疎植ほど良いという人は球根生産を理解できていないかもしれません)。

 球根生産者は、過去数年の肥大結果と世界需要を参考に、定植密度を決定します。需要に応じて面積と収穫サイズを設定することが、結果として球根生産者、切花生産側、双方に有益ですが、様々な理由があってずれていくものです。  
 弊社は日本向けチリ産球根を最も多く扱わせていただいていることもあり、現地訪問を唯一続けている会社として、彼らの苦労や経験を共有できています。今回の訪問を通じて、今後、既存品種が種球品質などの理由で減少し、新たな品種が選択されていく中でも、彼らの価値観と経済性を理解することができ、一緒に考えていく相手として信頼を深めていけると感じました。

 

③ サッカーのチリ代表は、7月2日午後(チリ時間)にコンフェデレーションズカップで対ドイツとの決勝戦を予定しています。サッカーに興味のない人も、試合だけは見ると言うほど盛り上がりを見せており、日曜は全てのお店が閉るので、金土の夕方は酒屋に多くのひとが並び、お祝いのために大量にお酒を買い込んでいく姿が見られました。Chi-Chi-Chi, Le-Le-Le, Viva Chile !!

 

私はこれから、既に予選リーグで敗退したニュージーランドへ向かいます。

以上