株式会社中村農園

レポート・球根情報



Flower Power for Kids    子供たちへの花教育(2007/10/15)

翻訳:和田まり子

花の消費拡大には関係者がそれぞれの段階で努力していますが、 アメリカでの一つの取り組みをフラワーテック誌が取り上げています。 子供達に花について教えることにより、家族や将来への広がりをねらった試みで、 (我が国で可能かどうか分かりませんが)ご参考までに紹介致します。(中村農園)

オランダの花き専門誌「Flower TECH」 volume 10 No.5, 2007より翻訳、抜粋

 アメリカでは現在、エクアドル人の花き生産者、ラミロ・ぺナヘレラ(Ramiro Penaherrera)さんによって子供たちに花をプロモーションするという取り組みが行われています。彼は“花”がナイキやリーバイス、マクドナルドのように“ブランド”化できないか考えました。マクドナルドのマーケティング戦略を元に作られたこの取り組みの目的は、子供たちが幼い頃から気軽に花屋に行けるように、また花を買うことの利点を彼らの親にも伝えるという教育プログラムです。

ラミロさんは以前から北アメリカの花屋さんのマーケティング力が足りないことに不満を持っていました。育種業者、生産者、流通業者は品質の良い花を供給しようと懸命の努力をしているにもかかわらず、それぞれの連携が弱く、北米ではヨーロッパに比べ花を買うという文化水準が低かったのです。

そこでラミロさんは花の購買意欲の弱いアメリカ人の意識を変えていきたいと思うようになりました。そこで生まれたのが“Flowers for Kids (子供たちのための花)”教育プログラムです。「子供たちは純粋であり、それゆえ花の美しさを理解しやすく、受け入れやすい。」

学童へのこの教育プログラムは彼らに花束の作り方や花持ちを良くする方法を教えています。24分間の授業の中で4タイプの花の中から彼ら自身の手で花束を作ってもらい、花束の大きさや出来映え、自然に見えるかどうかなどに注意しながら完成させ、それを家に持って帰ってもらいます。また、教育プログラム終了時には修了証書を発行します。

このプロジェクトを通して、家庭に花があることの素晴らしさ、そしてその感動を彼らに伝え、子供たちを通じて親の世代の人々にも花の重要性を知ってもらうことを目的としています。Flower for Kids というアイデアは10日後、そして10年後に花を買ってくれる消費者を生み出すことなのです。

このプロジェクトはエクアドルやコロンビア、カリフォルニアの花生産者、流通業者、育種業者などによって運営されており、生産者が年に250ドル(約30,000円)ずつ拠出して資金をまかなっています。これまで322の花屋さんに授業の仕方を教えてきました。「花屋さんがその後どのように広げてくれているのか、言いかえればどのくらいのレッスンを花屋さんが行い、またどれくらいの子供たちがそれに参加してくれているのかわかりません。また、花屋さんに授業を行うという義務はありません。そしてこのプロジェクトが実際どれ位花の消費量を増やしているのか定かではありません。しかし、花屋さんや学校、子供たちから大きな反響があり、私たちはこのプロジェクトが有効であると確信しています。」と、ラミロさんは言っています。
このプロジェクトがアメリカ市場をターゲットにして開始されてから3年が経過しましたが、今ではイギリスやイタリアもこのプログラムを導入することに興味を示しています。