株式会社中村農園

レポート・球根情報



2008年オランダ産在庫表送付に際して (2008/4/30)

中村 慶吾

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

2008年オランダ産在庫表を現在準備しております。
ポイントは大きく分けて3つ。 球根相場品質為替管理になります。

1.球根相場
当社ホームページ“2008年オランダ産の状況(2008/4/2)”でもご紹介の通り、オランダの輸出会社も生産者も、今年の球根生産と取引をどうすれば良いのか、頭を抱えています。
近年、南半球(チリ・ニュージーランド)での生産が増え続け、オランダ産への需要が減りつつある中で、2007年オランダ産の面積は増加し、生産過剰となりました。2008年オランダ産につきましては、(アメリカの景気後退、史上最悪のユーロ高ドル安に襲われている)ドル圏のアメリカ 及び 中米の切花生産国の不調、英国スーパーの安値買いによる混乱など 不安要素が多く、07年産よりも15-20%程度の面積減少が必要と言われていますが、実際のところどれだけ減少するか分からず、オランダ各社も慎重に仕入れを行っています(そのため例年に比べ、在庫表の送付が遅れています)。
最近になり、ようやく相場(価格の下げ止まり感によるマーケット価格の形成)が見られ始め、やっと第1版2008年オランダ産在庫表を近日 お届けすることができそうです。価格を見ますと、全般にかなり安くなっています。価格が下がらないものとしましては、安すぎて(コストに合わず)生産者が面積を減らした品種で、ロンバルディア、イエローウィン、アクティバ、ウィルケアルベルティ、メデューサなどがその代表です。需給関係で見れば、価格上昇の可能性があるとも言えますが、これらの品種については、価格上昇の前に完売になるのではないでしょうか。

2.球根品質
球根品質は常に私たちの業務の最重要項目であり、これまでも様々な角度から調査 及び 向上を図ってきました。
これまで、球根品質の表示として、“EVR”が使われてきましたが、時代も変わり、皆様からのご要望も、さらに純粋な球根へと高度化してきています。
当社では、これまで既存の一般品種につき、EVR球を用いてきましたが、本年からその中でも上位ランクで、かつ一定の制限基準を設けた“EES”(EEセレクト)の取扱いを開始します。
(結果的に)優秀な生産者に管理された球根です。(知られた生産者名をブランド化して、価格を高くするようなものではありません)
※設定条件に合う球数が少ないため、早くご注文を頂いている方から優先的にこの品質の球根を納品させていただき、その後は 従来のEVRに切り替わります。
また、今後もEVR表記をしたものや、新品種等 あえて表記をしていない品種につきましても、当社の品質に関する方針は変わらず、“いい球根をより安く”を実現して参ります。
球根価格が安すぎる時代だからこそ、品質について高い意識をもつことが重要です。

3.為替管理と単価条件
2008年産を考える上で、影響の大きい内容です。このところ為替相場はかなり不安定で、4月28日付の別紙 当社 日経新聞レポート“ユーロ 一人勝ち”にもありますとおり、一時150円程度だったものが、現在1ユーロ160円を超えて円安に推移しています。
為替相場につきましては、いろいろな説明のされかたがあろうかと思いますが、考え方のポイントは

確定単価 (ご注文時に価格が決まっている)か、
為替変動型(ご注文後に価格が調整される)かどうかです。

当社ではすでに08オ産に必要なユーロの大半を、かなり低いレートで確保しており、2008年オランダ産の在庫表を発表するに当たっても、有利かつ為替リスクのない確定単価でご提示できます。為替管理は球根会社の大切な仕事の一つ、と当社は考えております。
為替情勢が不安定(かつ不利な状況で)変動型の単価の場合、請求段階でいくらになるか分からないというのはお客様にとって不安だと思うからです。

例)1ユーロ150円と165円の違いは、165÷150=110%

同じユーロ価格の球根(円価の仕入値)が、それだけ高くなるということです。海外旅行の経験がある方はピンとくると思います。
(余談ですが2000年頃8000円くらいだったオランダのホテル代が、今は13000円くらいします…!!)

これまで多くのお客様にたくさんのお問い合わせを頂き、誠にありがとうございます。私どもが有利に仕入ができるのも、こうした皆様のご協力に尽きます。
面積が減少する中で、需要と供給を見極めるという非常に難しい年ですので、慎重に仕事を行います。
近日中 (5月7日予定) に、在庫表 第1版 をお送りしたいと準備しております。
取引が本格的に始まれば、品種により 相場は上昇する可能性があるレベルです。  お忙しい時期にはなりますが、ご準備をお願いいたします。

以上

ユーロ“一人勝ち”
~初の1.6㌦台、対円でも高水準/利下げ観測後退、買い圧力~
4月24日(木)付け:日本経済新聞より抜粋
 

外国為替市場でユーロが独歩高の展開となっている。22日のニューヨーク市場で対ドル相場が1ユーロ=1.6ドル台まで上昇し、1999年の単一通貨導入以来の最高値を更新した。対円でも1ユーロ=164円台と昨年末以来の高値圏。ユーロ圏のインフレ率の高止まりを受け、欧州中央銀行(ECB)が早期に利下げするという観測が後退しており、ユーロ買い圧力が強まっている。ユーロ上昇は米金融不安が表面化した昨年夏から目立ち始めた。ドルや円、英ポンドなど主要22通貨に対する相場を加重平均して算出する実効相場は104-106で推移していたが、今年3月には114まで上昇した。三つの要因がユーロを押し上げている。一つは金利差。ユーロ圏15カ国の3月の消費者物価上昇率は前年同月比3.6%で、07年にユーロを導入したスロベニアでは7%に迫る勢いだ。トリシェECB総裁は「物価安定を最重視する」と繰り返し発言し、政策金利を年4%で据え置く姿勢を崩さない。市場でも「6月利下げ説」が後退。米連邦準備理事会(FRB)やイングランド銀行が利下げをしてきたなかで、英米との金利差が縮まらないとの見方が増えている。

最近の金融市場の混乱が、米国に比べ実体経済に悪影響を及ぼしていないこともユーロ高の一因だ。独政府高官は08年1-3月期の実質成長率は「(年率換算で)1%台後半を維持できる」との見方を示す。07年実績から1ポイント程低下するが失業率は低下しており、足元の景気は日米英などに比べて底堅い。

ユーロそのものの実需も見落とせない。ユーロ圏の拡大で独仏企業などが貿易決済でユーロ建ての比率を高めているうえ、各国が外貨準備に占める割合を穏やかに引き上げていることが、ユーロ買いに結びついている。

通貨高が長期化すれば、ユーロ圏企業の国際競争力が低下しかねないとの不安はある。こうした欧州側の不安を背景に、4月にワシントンで開いた7カ国財務相・中央銀行総裁会議は「行き過ぎたドル安」に警鐘を鳴らした。だが、米景気停滞が続く限り、ユーロ高の流れにブレーキがかかりにくいとの見方が多い。