株式会社中村農園

レポート・球根情報



南半球出張報告(2009/3/18)

中村 慶吾

いつも大変お世話になっております。
2月後半に、チリ・ニュージーランドにて、日本向け輸出を行う主要生産者を訪問し、調査を行ってまいりました。また、2009年南半球産球根の販売状況等について、合わせてご報告致します。

●面積と生産体系の変化

①.生産面積と品種
各生産者からの聞き取りによりますと、下記表の通り、ニュージーランドは増加、チリは大きく減少となり、合計で8.7%の減少となりました。

2008 2009 前年比(%)
ニュージーランド 194.5 201 103.3%
チリ 464 400 86.2%
合計 658.5 601 91.3%

2月13日のレポートで“NZが▲5%、チリが▲15%!?”と書きましたが、思っていたほど減少はしていなかったことになります。減少が著しい品種は、アカプルコ、マルコポーロ、イエローウィン、カサブランカ、スターゲザー、メロースターなど、世界的な需要減で昨年販売に苦しんだ品種です。これらの減少は極端で、情報に過敏に反応した弊害で、全ての生産者が一同に同じ品種の生産を停止(激減)してしまう事態となっています。 同様に、こうした品種はロット更新もされていない事が多く、再生産には時間がかかるでしょう(再生産しようとは思わないかもしれません)。
逆に、増加品種としては、ロビナ、シェルブール、サンタンダー、コルバラ、モンテズマ、ベラドンナが目につきました。減少した品種に代わって、これらは将来性があるという意味で、皆様の果敢なチャレンジをお願いします。
その他、日本で使う主要品種は、大きな変動はしていません。

②.販売球面積比率
表中の面積には、今年収穫の販売球と、リン片面積(来年リン片となるものを含む)、また1.5年や2年栽培の1年目(2010年収穫)が含まれています。
今回の調査では、チリ・ニュージーランド共に販売球の面積は全体の68%程度で、残り(32%)が来年以降生産のための畑となります。これはオランダの20%程度(例:08オ産オリエンタルのリン片+ハウス養成面積は19.4%)に比べて高くなっています。
リン片面積が多いことのメリットは、小さい種球を処分し、大きな種球だけを使うことにより、マーケットの需要に合わせた球根生産と、大球を中心にした生産が可能となることです。
(数字上の面積減少が、必ずしも販売球数の減少にはならないということです。)

 

●今年の気候
チリと、ニュージーランドは、太平洋を挟んで遠く離れていますが、気候傾向は偶然にも似ています。
植え付け後、10月から1月までは平年並みかやや暖かく、日照にも恵まれました。その影響か、畑での百合の草丈は両国とも平年に比べやや低くなっています。NZがチリと違っているのは、11月と1月に雹(ヒョウ)が降った事です。一部の圃場で、止め葉が傷ついたものがありましたが、特に影響はないものと思います。
2月に入ると南極からの風が吹き、気候は一転して秋の様相となりました。訪問時、雨の日も多く、最高気温が20度を下回り、薄いコートが必要でした。
今回もたくさんのロットを試し掘りし、チェックしましたが、球根に目立った問題は見られませんでした。ただし、ロットによる差は明らかにあり、お客様の使用用途に合わせた選択が必要だと思いました。2月の訪問というのは最近なかったので、過去のデータと比較することができませんでしたが、一部生育の悪い圃場を除き、既に植え付けより2.5サイズ(5cm)以上(調査平均2.85サイズ(約6cm))肥大しており、この時期としては悪くないと思います。
球根の力については、まだわかりません。 3-5月の気候が重要になりま

 

●球根流通の変化
2月13日に、南半球産球根についてのご報告をしてから、一ヶ月が経ちました。 その間、レポートでご紹介させていただいたような、さまざまな価格決定の要因が話し合われ、全体的な状況理解がされたものと思います。
今回の出張の目的に、球根生産者の方々に切花産地側の状況を説明することがありました。実際に一人ひとりに会って、日本の切り花生産・販売の現状をお話しし、売り手の期待と買い手の現状のずれを埋める助けにはなったと思います。
09年SH産取引の大きな変化は、主要輸出会社(及び生産者)がメインの輸入会社に、優先して需要品種の配分を行ったことです。これは、生産から販売へのライン(チェーン)を形成することで、安定した効率の良い取引ができるためです。オランダ人はこれをストラクチャービジネス(構造取引)と呼んでいます。
現実的な問題として、取扱いが少ない場合コンテナに仕上がらないことや、出荷効率が悪くなる(出荷が遅れる=現地の冷凍施設が不足する)ため、集約を図っているのかもしれません。(特にLAはオリエンタルと収穫期(出荷期)が異なり、取扱量(ケース数)が少ないため影響が大きいと思われます。)
また、こうした集約化の効果として、肥大不足や品質問題によるショートが発生した場合も、南半球産地の中で 別の産地や国への振り替えが可能で、欠品率の低下(供給の安定化)にもつながっています。

中村農園と致しまして、こうした期待にお応えすべく、流通を効率化(コスト低減)し、球根価格やそれに付随するコスト(冷凍賃や手数料)の削減などに結び付け、生産者の皆様にメリットを実感していただけるよう、変化してきています。
(新冷温蔵庫建設も、“コスト削減と品質及び出荷の安定化”“サービス向上”の一環になります。6月4-6日のゆりフェスタの際に、ぜひご見学下さい!)
2008年南半球産の実績として、日本で流通した球数の約41%を取扱わせていただきました(オランダ大手輸出会社の分析)。
今後とも、良い球根を安く、より良いサービスを目指して頑張ります!

●球根価格と切花価格
本当に難しい時代だなぁと感じます。
球根生産側にすれば、昨年の球根価格は赤字ではなかったにしろ、決して面白くなかった。 我々日本側は、昨年の切り花単価の安さの影響は大きかったわけで、球根価格が上がるのは好ましくないし、高く買わされる理由もない。
2009年南半球産は、結果的に昨年並みの相場となり、為替の影響で、円価としては08年SH産よりもずいぶんと安くなりましたのでご安心ください。

高知のある生産者(個人的に尊敬している人ですが)と、チリ・ニュージーランドの生産者、オランダの代表的な輸出業者で食事をした際に、その方が言われました
「多少球根が高くてもいいんよ、我々えい(良い)球根が手に入れば」。
そうだと思います。品質一番を忘れてしまっては、切り花生産は面白くないでしょう。
球根生産者を経営的に追い込んでしまえば、球根の品質が低下する。そうすれば、私たちは最高の切り花生産ができなくなり、自身の作品に満足できなくなるでしょう。
ただ、良い球根なら高くても良いというわけではありません。
当社のモットーである“より良い球根をより安く”を継続していきます。

 チリ
サンハーベスト社
サッポロ シベリア ユニバース リオブランコ
新倉庫 倉庫内

 

ソネ社
アドバンテージ カサブランカ クーリア サンタンダー
シベリア ソルボンヌ ソルボンヌの畑 ブリンディジ
リアルト ルシオン ロンバルディア 調査中

 

サザンバルブ社
コンカドール シベリア シベリアの畑 ソルボンヌ
ソルボンヌの畑 ノバゼンブラ ノバゼンブラの畑 ベスプッチ
リアルト ロビナ 会話中 調査中

 

モンテスベルデス社
ウィルケアルベルティー コルバラ サンタンダー サンタンダーの畑
リアルト 調査中

 

サン&ブリーズガーデン社
コンカドール セラノ フェアリーテイル ロビナ
倉庫 調査中

 

 ニュージーランド
アイランドバルブ社
コロラド コンカドール シベリア シベリアの畑
ソルボンヌ ベラドンナ
バンザンテン社
アクティバ カサブランカ クープレット コンスタンタ
サナ シベリア シベリアの畑 ジャスティーナ
ティアラ ロイヤルトリニティー ビビアナ リアルト

 

バッカー社
カルーソ シベリア ソルボンヌ リアルト
ルレーブ ロビナ

 

サザンフローラ社
アケミ ソルボンヌ トロピックダイアモンド パーティーダイアモンド
パーティーダイアモンドの畑 リアルト