株式会社中村農園

レポート・球根情報



009年オランダ産在庫表お届けに際して(2009/7/9)

中村 慶吾
平素は格別のご高配賜り、誠にありがとうございます。

09年オランダ産在庫表(第1版)をお届けするにあたり、状況について簡単にご説明いたします。

オランダ産 オリエンタル/OT 作付面積
2007 2008 2009
作付面積(速報値) 1931 1705 1466(??)
作況 △10% 0%~+5%
面積イメージ 1534 1466~1539

上記表は各年のオリエンタル/OTの面積を表したものです。
2009年の数値は、“2009年オランダ産生産面積のアンケート調査” ( 5月7日付)でご紹介した(あくまで)参考(仮定)値とお考え下さい。
面積の下の欄(作況)は肥大について、その下は面積×作況(肥大)の面積イメージとなります。

2008年は結果として不作の年でした。詳しくは“オランダ出張報告”‐08年11月26日付をご参照下さい。(←これ、今読んでいただくと今年植えの球根について参考になると思いますし、あのタイミングでの調査結果と予想が、案外 的を射ていてホッとしています。)
結果、ソルボンヌもシベリアも完売となり、球根不足で需要はあるのに応えられない (中国などは買いそびれ、09SH産へ動かざるを得なかったような)状況です。
2009年は表の通り、その08年オランダ産に近い(下回る)生産量になるだろうという事です。(植付け時期から現在まで、オランダの天候は良いということで、作況予想は0~+5%としました。)

生産・供給面では調整が進んだのは良かったと思いつつ、私が仕入で今もなお迷うのは、世界的に需要がどうなるかということです。
世界同時不況で、2008年は日本の切花価格は過去にない安値となりました。
日本ですらそんな状況ですから
アメリカ大陸の国はさらに深刻、
イギリス経済の落ち込みで、ヨーロッパで生産されるスカシ・LAの需要はがた落ち、 ロシア向けに取引されていた高品質オリエンタルもこれまでのような高値は期待できないのでは…。

一方で、今年に入ってから、日本のゆり切花市況は少し回復しているように思います。 特定品種が集中出荷された時に一時的に相場が下がったものの、全体としては健闘しており、悪い相場も長くは続かなかった。
これは南半球産球根の輸入量が減った(燃料代問題により西日本でも慎重な作付けとなり、東日本での冬場はオランダ産や南半球産を用いたLAにシフトした)事も影響していると思います。
(詳しくは08年12月11日付け“南半球産球根について”をご参照)

面積減少の内訳について
全般には古い品種が減っています。
カサブランカ、シンプロン、アクティバ、ウィルケアルベルティー、マルコポーロ、メデューサ、ロンバルディア、イエローウィンなど
LAでは、ロイヤルトリニティ、セラダ、ダズル、ギロンデ、フェルメール など これらの大半が近年人気や市場評価が下がったために、球根販売が難しくなった=球根単価が低すぎて、生産者が続けられなかった品種です。

こうした品種は面積が大幅に減り、需要とのバランスが取れ、価格下落が底を打ち、上昇に転じたものもあります。
しかし、生産が減ったから自動的に花の値段が上がるわけではないので注意をお願いします。
当社の試作ハウスでたくさんの生産者様から「やっぱりもう古い品種は厳しいね。」との感想をうかがいました。伝統的で買う側からするとやや魅力を感じづらくなっている品種については、用途や使用時期をよく考え、上手に生かしていただきたいと思います。 典型的な例が、ダズル。夏にも草丈が取れ、周年出荷が可能という特長を生かし長らく主役品種として君臨してきましたが、すでに数年前より、いろいろな方々から「ダズルに代わる品種はないのか?」と言われています。例えば、“オリオロ”の方がボリュームにまさり、点もありません。

既存品種が減少する一方で、球根生産が次第に増加し 適正な価格帯に入ってきた市場性のある有望品種が出て来ました。時代は変わりつつあります。

為替はまだ比較的円高で、既存の品種も新しい品種も 円価での球根価格差が小さくなったのが今年の特徴です。先日、ご案内致しました(一般消費者の方も含む)「ゆりフェスタ」アンケートでもわずか数年で人気の変化(≒品種の高度化)が進んだことに驚きました。
業務用品種の安定出荷とともに、ぜひ品種のアップグレードを図ってみて下さい。 (ご相談は担当の営業まで!!)

当社の試験農場では品種のご紹介に加えて、
なるべく実用的な試験を心掛けており、営業自身も栽培に参加し、毎日勉強しています。

○球根相場について
現在、他国の仕入れも活発になってきており、オリエンタルの主要品種(ソルボンヌ、シベリアなど)、又 面積が少なくなった品種(ウィルケアルベルティ、イエローウィン、アクティバ、メデューサなど)で価格が既に上昇しています。
先月オランダの輸出業者6社が来社しましたが、全社の意見が「ここ数年の流れがかわり、取引が正常化して来た。(遅くなる程)価格は安定ないしは上昇基調ではないか」との事でしたので、ご参考まで。
また、今後は円安の方向に進むとも言われており、確定単価方式を取っている当社としてはこの点も心配です…。

以上、宜しくお願い致します。