株式会社中村農園

レポート・球根情報



情勢報告(2017/8/18)

お客様各位

情 勢 報 告

2017年8月18日
株式会社中村農園
中村 慶吾

 いつもお世話になっております。

 お盆を過ぎましたが、全国的に高温が続いております。過去5年の気象データと比較しますと、高知市では7月から8月上旬の平均気温が、2012、2013年に次ぐ暑さでした。
 ホームページの“レポート・球根情報”の中に、弊社試験ハウスのスケジュール表が掲載されておりますが、暑さに耐えられる品種探しを目的に“酷暑試験”(7月11日定植)を現在行っております。
 植付け時の高温ダメージや発根不足は、生育後期に影響が表れ、今年の気温では、さすがに例年では見ないような高温障害も多数発生しています。俗にルーティングを12℃2週間などと言いますが、今年はオランダ産の発芽スピードが遅く、高温期の根張りをしっかり確保するためにも、日数ではなく、芽長が14㎝、発根が4節など、ルーティング(根出し)完了目安を確認していただくようお願い致します。
 この時期、外気温よりもハウス内の方が暑くなることが多いですが、見落としやすいのは“慣らし”を行う倉庫も日中は高温な事です。温度計などで確認の上、予冷庫から外に出すのは日没後にするなど工夫をお願いします。

 

  • 2017年オランダ産 作付面積統計

 ホームぺージでもご紹介の通り、OTの面積増加が年々加速しています。 5月12日付レポートでもご紹介の通り、中国、ベトナム向けのロビナ、コンカドール、マニサ、イエローウィンの増加が続いていますが、加えてテーブルダンス、ザンベジが急速に増加していることが注目されます。

 以下表記は「2年栽培」と「その他(1年栽培)」を合計した面積(ha)です。 6月のダッチリリーデイズころに、2016年オランダ産の中国・ベトナム向け輸出が遅れているという情報がありましたが、オランダ輸出会社への聞き取りでは、若干の遅れはあるものの、現在は順調に積出しされ、最終時期に近づいているとのことです。

 

 品種ごとの詳細は、ホームページ「2017年オランダ産作付面積統計【原語版】」をご参照いただきたいと思いますが、オランダの球根生産の方向性を見るため、中規模以上の面積で、大きく増加している品種をピックアップしてみました。 赤の多様化、ロビナに似た品種、白OTが増加しています。オリエンタルは、オランダの切花生産者からの需要などがベースになっているように見えます。

 

 最後に、日本に関わるオリエンタルの白系とメイン品種です。 シベリアは心配されていたほどの減少ではなかった一方、フランス産の減少が大きいと言われています。2015年産では、8月頃に不作がわかりショートが見込まれていたフランス産シベリアが、(代替の選択肢がなくなった)収穫後の年明けに、夏産地を中心に大量にザンベジに振り替えられたことが記憶に新しいところです。
 クリスタルブランカは、中米でザンベジへの切り替えが進み、大幅減。
 パシフィックオーシャン、セバンはなぜか急増しています。カサブランカは昨年より下げ幅減少、シーラ、ソルボンヌは需給バランスが取れています。

 

 OTが大幅に増加し、中国・ベトナムの景気減速がやや心配され、17年オランダ産は春以降、現地での取引が緩慢な印象がありますが、日本が必要とするオリエンタルは全体の面積は下げ止まりを見せるものの、個々の品種の面積が小さく、既に完売となっているものが多くなってきています。
 オランダでは昨年のような大雨や雹などの気象災害は発生しておりませんが、為替レート(ユーロ/円)は、世界的にユーロ高が進んでおり、年初の1ユーロ=115円程度から7月には130円を超え、球根単価も徐々に上げていかざるを得ません。ご理解とご協力をお願い申し上げます。

以上