株式会社中村農園

レポート・球根情報



オランダ出張報告(2017/11/22)

お客様 各位

オランダ出張報告

平成29年11月22日
株式会社中村農園 中村光輝

 

 私は11月13日から18日にかけて、オランダの球根生産圃場と生産者を訪問し、現地の動向と2017年産の球根について調査して参りましたので、以下にとりまとめてご報告いたします。

 

【 収穫が進む秋 】

 今年は春の天候に恵まれ、雨が少なく定植は順調に進みました。4月下旬は厳しい寒さとなり2年栽培球やリン片増殖用の圃場でフロスト ダメージ(霜害)を受けたところがありましたが、天気は良く気温も上がり春の3か月間は例年よりも暖かい年となりました。初夏の6月は高気圧に覆われ天気が良く、7月にはオランダの広い範囲で長雨となり東オランダでは日照時間が短くなりましたが、肥大は順調に進みました(図、参照)。その為、多くの球根生産者がボトリチス予防の消毒を例年よりも早く止めました。

しかし、9月から一転、寒波と強風でボトリチスが一斉に広がり、急速に地上部の枯れが進みました。ほとんどの圃場で生育が早く止まり、LAなどは大球が少ない品種が多くなっています。今年は“いつまでボトリチス用の消毒を続けたか”で肥大が大きく異なる年となっています。
 一方で、例年よりも早く球根が収穫できる状態になり、昨年よりも10日間ほど早く掘り取りが進んでいるため、輸出会社には例年よりも早く球根が届いています。

 

【 今年の芽は細長い!? 】

 事前情報では上記のようにLAやスカシの肥大が不足しており、オリエンタル・OTへの影響も心配されました。私が訪問した東および南オランダの地域では、肥大の測定値は昨年よりも高く、特に南西部は肥大が良かった2014年産に近い値でした。ただし、今年は2014年産で見られたオリエンタルでの20㎝や22㎝などの大球は少なく、同時に12㎝や14㎝などの小球も少ない年でした。また、今年はシベリアなど晩生品種よりもソルボンヌなどの中生・早生の品種の方が、肥大が良い傾向がありました。球根生産者の中にはシベリアの16-18と18-20が想定よりも多く掘り上がってきており、需要サイズが多い結果に満足しているという人もいました。
 一方で、今年の球根は内リン片の枚数が少なく、球根内の芽は細長いものが多く見られました。(写真参照)。初秋の気温低下で地温が下がり、収穫済みのLAの芽は比較的高いという生産者が多くいます。オリエンタルに関しても、私の調査では例年と比較しても芽が高い年となっています。現在、輸出会社には球根が届いておりますが注意して取り扱っているとのことです。弊社も入荷の際は注意深く検品し、皆様方にお届けする球根を細心の注意を払い、ゆり球根専用の冷蔵庫にてお預かりさせて頂きたいと思います。

        肥大:104%、芽の幅:97%、芽の高さ:107%  (※対前年比)

 昨年の9月は非常に暖かく生育期間が長くなり収穫が遅れたのに対し、今年は強い寒波と強風で生育が早期に止まりました。近年、収穫前の天候が収穫結果に影響することが多くあります。弊社では、輸出会社から得られる情報と合わせて、毎年11月中旬に現地を訪問して圃場調査を行っており、収穫序盤のこの時期に調査を行うことの重要性を改めて実感しました。

 

【 諸外国の影響!? 】

 今年は、昨年との比較をするために同じ球根生産者の地域・圃場も訪問しました。いくつかの圃場では、私の簡単なカウントでも定植密度が低く(薄く)なっているところがありました。生産者や品種によって異なることは理解していますが、昨年までと同じ品種でも少ない圃場がありました。訪問先の生産者に尋ねると、「よく見ているね、実は昨年よりも(単位面積あたり)5%位少なくした。」、「この圃場は16年産の状況を見て、10%広く植えることにした。」と、単位面積当たりの定植球数を抑えている生産者がいました。
 昨今、例えば、シベリアでは中国の小球需要が減少し、中球や大球を使い始めています。世界最大の消費国である中国の変化は影響が大きく、輸出会社を通じて球根生産者に伝えられ、徐々に定植密度を薄くする・想定サイズを大きくする生産者がいます。
 定植密度が低い圃場はもちろん密植した圃場よりも光を十分に浴びることができるため、球根肥大が良く、“力強い球根”ができると言われています。日本としても、充実した力強い球根が好まれ、こうした球根生産者の方向性は賛同できるのではないでしょうか。

 

【 増えすぎたOT 】

 今年もオランダではOTが話題になっています。日本では徐々にOTも品種ごとに受け入れられ始めましたが、オランダの球根生産面積は対前年+25%以上の急激な増産が行われています。
 一方で、白のOTの中には品種によって“増産したが売り先がない”という現象や、中国系の国々を中心に高い需要が見込まれるコンカドールやロビナも、特定サイズ以外は全く動かなくなっています。毎年、この時期の訪問では新しい品種を含め生産計画について意見を求められます。こうしたコミュニケーションは需要と供給の相違を防ぎ、品種を守っていくことにもつながると思います。
 球根生産者は様々な点を考慮して品種や栽培方法を検討していますが、意見交換の際には、実際にお使いになられている切り花生産者の皆様方の貴重な意見を参考にさせて頂きながら伝えていきたいと思います。今後も皆様方のお役に立てるよう頑張りますので、よろしくお願い申し上げます。

 

【参考資料】

図.オランダの気候(2017年)

写真.東オランダのシベリア(芽:左、球根:右)

 

以上