株式会社中村農園

レポート・球根情報



チリ出張報告 (2018/7/23)

お客様各位

チリ出張報告

2018年7月23日
株式会社中村農園
中村慶吾

 いつも大変お世話になっております。
7月9日~14日まで、チリに出張し、収穫状況や球根品質について調査してまいりましたので、以下にご報告申し上げます。

 

【2017年のオランダに似ている!?】

「チリで起こることは、半年前のオランダで起こっていたことが多い。」とある生産者が言います。生産品種や面積の増加、世界マーケットの反応など、球根販売に関することに加え、気候や球根も昨年後半のオランダに似ています。
3月のチリ出張報告でも記載の通り、チリの生産地は南北で500Kmほど離れており、それぞれ地域により気候が異なりますが、2018年産のシーズンは、2017年産の時と比べて、多くの月で気温が下回り、生産者たちも「春も夏も涼しかった」と言っていました。
前半の生育遅れに不安がありましたが、真夏に当たる1-2月は(地域によりますが)雨が少なく日照に恵まれました。又、30℃を超えるような高温もなかったので、球根は休むことなく肥大を続け、生育は多少回復したものと思います。
今回の調査では、通常の1年栽培球の肥大はやや小さめでしたが、小球も少なく、中サイズにまとまっていました。
北部の生産地における、2年栽培球(一部1.5年栽培)の肥大はかなり良く、秋に地上部を深く刈り込んだにも関わらず、22㎝以上に肥大しすぎたものが多く見られ、中には30㎝になる球根もありました。(右写真:直径約10㎝。ここまで大きい球根は珍しい)

上記のような気候と肥大の傾向は、17年オランダ産(詳しくは17年11月のオランダ出張報告をご参照下さい)によく似ており、不思議なつながりを感じます。残念ながら世界のマーケット環境も似ており、需要から外れたサイズの販売は簡単ではないでしょう。

 

【早い収穫、コンパクトな芽形成、そして落ち着いた生産者の顔】

秋以降も基本的に涼しく、南部の生産地では4月に早い霜が入りました。
5月に一度暖かくなりましたが、早霜の影響で地上部の枯れは進み、今年は平年と比べて1~2週間ほど収穫を早く始めた生産者もいます。
6-7月の天候は、時折まとまった雨が降る程度で、晴れの日が多く、収穫作業は順調に進みました。訪問時、面積の小さい生産者はほぼ収穫を終えていました。
気温が早く下がったことで、芽形成は平年に比べてコンパクトなものが多くなっています。

今回の調査結果と過去5年間の平均値を比較すると、以下のようになりました。

芽の長さ:91%、 芽の幅:90%、葉枚数:97%

写真左:シベリア、中:シベリア、右:コンパニオン(今年は収穫済み)

昨年は秋が温かく、枯れ方が1週間程度遅れました。また、収穫期には小雨が何日も続き作業に入れず、さらに収穫が遅れたため、生産者は発芽の心配に苦悩していました。今回訪問時、ゴールを目前にした生産者たちの顔にはホッっとした安堵が見られました。

【クリーンなチリ産、痛みを伴った規模縮小】

チリの生産者は、プラムバイラスからの脱却を図り、母球をティシューから作り直すようになりました。わずかでも感染のあったロットは廃棄してきたため、今年(及び来年も)生産面積を縮小している生産者が多い状況です。現地で彼らと直接話をすることで見えてくるのは、生産地でのクリーン化は、コストがかかるのは当然ですが、それ以上に、生産減は大きな痛みを伴います。しかし改革が圧倒的に進んでいる事や、彼らがそれを前向きに捉えている事もわかります。
世界のマーケット環境が難しくなったとしても、高品質なものが選ばれます。

弊社は、チリの状況が苦しいときも毎年訪問を重ね、ともに品質向上に取り組んでいます。いつも忙しい中、長い時間をかけていろいろな説明をしてくれることをありがたく思います。20年近い付き合いになり、それぞれの担当者の成長や、子供も大きくなっていたりして、二代目とのお付き合いもでてきます。
今はこれからの10年に向けた、スタートの時と考えておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

以上