株式会社中村農園

レポート・球根情報



オランダ出張報告(2002/12/20)

平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
12月1日~14日にオランダの百合球根状況を調査してまいりましたので、 以下にご報告いたします。

1. オランダの天候
今年のオランダは夏までがやや暖かく、9月からは順調に気温が下がりました。 11月は平年に比べればやや暖かかったですが、去年のように異常気象 (10月の方が9月より暖かかったなど)はなく、 おおむね球根生産には適した気候だったと言えます。

2. 球根
・鉄砲:サイズはやや小さいですが、去年のような発芽問題はありませんでした。価格は安定。
・アジアティック:8月上旬に雨が多かったため、早い時期にボトがつきました。 このため、モナ等の肥大が
早い品種はやや大きくなり、ナボナ等遅い品種は、 9月に気候が良かったものの小さめで終わりまし
た。品種によりかなりの欠品も入っており、 価格は安定または上昇気味。
・LA:アジアティック同様にボトをつけましたが、球根の肥大は普通でした。 価格は高どまり傾向。
・オリエンタル:雨によってボトがつくことはありませんでした。 夏の天候が良く、11月がやや暖かかったこ
とと、去年売れ残った12/14サイズの一部 (オランダの養成球としては大球)が植付け球として使用され
たことなどから、 (品種によっては)予想以上に肥大したようです。秋は順調に気温が下がったので、 地
中での冷蔵が効き、去年に比べて1-2%糖質濃度は高くなっています。 収穫期に球根が硬く締まってお
り、(生産地により違いはありますが) 平均して芽の状態は去年よりやや大きい様子です。(まだ断言で
きる段階ではありませんが、 )平年以上の力を期待しています。

3. オリエンタルの収穫状況
オリエンタルの収穫は11月下旬から始まりました。 11月中旬以降たまに小雨が降る程度で、雨による収穫の中断はなく、 掘り取りは順調に行われました。12月第2週に寒波が来る予報があり、 地表面が凍って収穫ができなくなることを恐れ、 球根生産者は12月第1週までに85-90%を収穫し終えました。 実際、第2週は最低気温が-10℃位まで下がり、表土が凍結、掘り取りは停止しました。 その為、一部は地中に残されましたが、そのほとんどは人気がないため売れ残っているもので、 そのまま畑で潰されることになりそうです。

4. オランダの球根生産
年々生産面積が増え、球根単価がどんどん下がってきたオリエンタルですが、 一部の品種では球根価格がコストを下回っており、 今年はついに倒産する球根生産者が出てくると言われています。小さい生産者のみならず、 生産拡大のため機械等に多額の投資をしてきた大きい生産者も苦しい状況です。
安すぎる球根は、生産者の管理不足や選別精度の低下等を誘発し、 最高品質の球根を求める私たち日本市場にとっては、余り好ましいことではありません。
人気のない品種は採算に合わないため生産が激減し、 来年のオリエンタル作付面積は全体でいくらか減少するとの見方が強いようです。 LAは順調に増加。近年生産が少し減り、一方魅力的な新品種の出現により需要が出てきた アジアティックは増加するだろうと言われています。

5. オランダのゆり切花生産(トピックス)
オランダのゆり生産者の中で、移動テーブル栽培が始められています。 数ヘクタールのグラスハウスに隙間なく百合の植わった箱(1m四方、高さ20cmほどのもの)が テーブル上に並び、採花の際には箱が採花場まで移動してくる仕組み。 この方法を最初に取り入れたバッカー社は、年間600万本を生産しています。
将来のオランダでの百合切花生産の方向を示すものとして、 オランダのみならず世界中から注目されています。

追伸
来年の弊社主催ヨーロッパ研修旅行は、5月17日(土)~24日(土)を予定しています。
キューケンホフ公園のリリーパレードはもちろん、上記バッカー社も訪問します。
旅の最後にはパリに寄り、ヨーロッパの素敵な春を満喫していただきます。
奮ってご参加下さい。(詳細後報)