株式会社中村農園

レポート・球根情報



ニュージーランド出張報告(2004/4/2)

中村慶吾

平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
3月下旬(3/19~3/26)にニュージーランドの全生産者を訪問し、 調査を行って参りましたのでご報告いたします。

1 ニュージーランドの気候

植付けが行われる10月頃に、熱く乾いた風が吹き続いており、そのため初期成育が十分でなく、 全般に草丈が低い。11-1月は例年並の良い天候が続き、生育は順調でした。
1月後半から2月は(特に北島南部で)雨量が多かったですが、生産のある地方では 適度な雨量でした。この間曇りが多かったため、日照量はやや少なかったようです。
3月はほぼ平年並み(ただし、秋への移り変わりで時折急に温度が下がることがあります)。
畑の葉はまだまだ緑が濃く、今後4月の気温と雨量によって熟度が上がってくるのを 待つという状態です。

2 生産圃場と球根のようす

ニュージーランドの生産総面積はおよそ105ha(去年は約110ha)で全体としてはほぼ変わらず、 品種構成は需要の高い(人気のある)品種にやや集中してきている感じがあります。
バンザンテン社の新品種、サナ、トップホワイトや、リアルト、ウィルケアルベティ等、 冬の切花生産に適している、新しい品種の生産(リン片畑)も始まりました。
去年と比べると、全般に草丈がやや低いですが、その分 日照が下の葉まで当り、 夏場の極端な高温と乾燥も少なく、日焼けのない健全な生育をしています。
球根の試し掘りをしたところ、肥大は平年並。但し去年は肥大が良かった年なので、 比較するとやや小さいとも言えます。
球根内の芽は、去年同時期は殆んど見られない状態でしたが、今年は多くの品種で芽長が 1.5cmくらいあり、茎部も1mm程度上がっているのが確認できました。 クライストチャーチ南西のラカイヤ地方(バンザンテン社、バッカー社の生産地)では、 2月中旬から地温が15℃を下回っており(去年と比べ半月ほど早く)、芽形成のスタートが 早かったと言えます。

3 各社の状況

  • バンザンテン社(南島:クライストチャーチ南西のラカイヤ)、約30ha
    バイラス汚染に対しての意識が高く、初期から定期的に防虫剤散布がされ、畑に雑草の1本もないような、行き届いた管理という印象。
    新品種のサナやトップホワイトのリン片畑もあり、アクティバ、ティアラ等の品種から、シーラ、ジャスティナ、コンスタンタ、ビビアナ等、新しい品種への移行も進んでいる。 (ニュージーランド全般の状態ですが)畑の草丈がやや低く、品種によっては球根肥大が心配なものがある。
    2年栽培球(弊社LF球)は下根が良く、球根は硬く、重みがあり、生育良い。芽形成も通常球より遅く、長期保存に適した球根に仕上がりそう。
  • バッカー社(南島:同じくラカイヤ)、約22ha
    植付け前の種球や 生育中も2回、葉のイライザーテストを行い、バンザンテン社同様、バイラス汚染に気をつけている。
    球根は硬く、下根も概ね良好で、印象は良い。肥大も適当。
    シベリア、カサブランカ、ルレーブ、マルコポーロなどの一般品種とともに、今年からリアルトのリン片畑もある。
  • サザンフローラ社(南島南方のゴア)、約30ha
    去年は掘り取り期に球根洗浄の許容量が不足し、結果 掘り取り遅れによる発芽事故を発生させた。今年は畑での球根洗浄能力を増強し、スムーズな収穫~出荷を期待できる。
    今年、最も南の生産地となり、気候は穏やか、土質は他の生産地に比べて重いが、水はけが良く、生育は良好で下根も長く伸びている。
    球根は硬く、肥大は例年並かやや良いくらい。
  • チューリップインターナショナル社(南島南方のタパヌイ)、約7ha
    やや山間部の川沿いの圃場で、オランダ南部に似たような黒っぽい砂地で水はけが良い。
    バイラス汚染のないきれいな球根で、下根の状態も良いが、やや肥大が遅れている。
    丁度良い地温帯に入っているので、新芽の形成も進んでいて、今後肥大は進むと思われる。 去年は選別・パッキングが悪かったが、今年は収穫期にオランダから監視役を駐在させる。
  • キウイバルブ社(旧ホップマン社)(北島南東部のネイピア)、約13ha
    ワインやカボチャ、リンゴ等の生産を行っている会社からなかなか立派な施設、 及び資本の協力を得て、新天地で球根生産を行っている。ネイピアは果物の生産が盛んな地方で、 土質はやや土っぽい砂で底には石ころの層があり、水はけが非常に良い。夏も高温すぎず、 球根生産にも(以前のオークランド郊外よりもずっと)向いている気候。下根もしっかりしていて、 球根は概ね良くできているので、収穫後 新しい倉庫でも安定した処理がされることを 期待している。


    バンザンテン社 (ラカイヤ)

     カサブランカLF シーラリン片  スプレー用の道  ソルボンヌの球と芽  ソルボンヌ畑  ティアラLF  ビビアンア片  畑
    畑での洗浄ライン


    バッカー社 (ラカイヤ) 

    1年半栽培の畑 アクティバ畑 シベリア球根 シベリア畑 スケール畑 マルコポーロ畑 ルレーブ球根  


    サザンフローラ社 (ゴア)

    カサブランカリン片球 シベリア畑 ティバー畑 マルコポーロ畑 ルレーブ球根


    チューリップインターナショナル社 (タパヌイ)

    カサブランカ球 カサブランカ畑 シベリア球 スプレー用の道 ティバー葉 リン片畑 畑右 畑左


    キウイバルブ社(ネイピア)

    カサブランカ球根 シベリア球根 ティバー畑 ネイピアの町(1部分) ムスカデット 周辺のブドウ畑 土質