株式会社中村農園

レポート・球根情報



ニュージーランド出張報告 (2009/7/28)

中村慶吾

いつも大変お世話になっております。
7月20日よりニュージーランドにて、収穫状況 および 球根と芽、生産者の情勢について調査してまいりましたので、ご報告致します。
前週のチリ、サンチアゴからオークランド(NZ)まで13時間、チリからNZへの時差は16時間です。(実際には逆回りで24‐16 = 8時間差というふうに体は感じているようです。)

▲難しい気候で、球根肥大はいま一つ!?

09年産のシーズンは大荒れです。植え付け(9-10月)のあと、11月-1月にかけてラカイアを中心に遅霜や雹(ヒョウ)による被害が発生し、2月に訪問した際も あまりいい印象ではありませんでした。
その後、3月下旬から早霜が始まり、4月は平年並み、5月(LAの収穫時期)は雨が多く、6月は乾燥で収穫はすこぶる順調、7月前半は雨が多く収穫が遅れるも、後半(現在)天候は良く(訪問時は暖かく早い春が来た感じ)、収穫は概ね終了といったところです。(ずらずらと書くとなんだか分かりにくいですね。)
要は、天候はあまり良くなく、肥大は平年並み~やや不良(ここ数年肥大が良すぎた?)、収穫は1週間~10日早い(昨年に比べると3週間ほど早い!!)です。
(別紙“クライストチャーチの気候グラフ”をご参照下さい)
良くも悪くも、今期の気候が平年と大きく異なることが、おわかりいただけると思います。

○平年並みの球根と平年並みの芽形成

上記のような気候の中、球根の外見は悪くありません。球根の締まりや重さは普通、根が非常に太く多いのが今年の特徴です。
(そのためか、球根自体の選別がやや小さめになっているものがありました。しかし 私たちが訪問した際には既に多くの品種の選別が済んでおり、指摘をする間もありませんでした。)
芽形成について全調査データを昨年と比較しますと、下記のようになります。

外リン片 内リン片 芽長 芽幅 葉枚数 茎長 茎幅
前年比 91% 105% 96% 94% 90% 95% 97%

08年NZ産は、歴代でも最も芽が大きかった年「大きい(一部品種は発芽しそうなくらいの)印象」(08年8月6日“南半球出張報告”より)で、09年NZ産はそれよりは小さく、過去4年間で見た場合、平均的な大きさとなります。

ただし、(生産者というよりも)生産地域と収穫時期の組み合わせにより、かなり印象が異なり、統一の見解を述べにくい状況です。品種別に昨年のデータと比較をしても、大きいものも小さいものもあり、一部にはかなり芽が高いものもあります。
強いて意見を申し述べますと、球根と芽形成から想像する球根の力は、“力のあった(ありすぎた?)昨年よりは劣るが、平年並みの年“と考えられます。
改めて、ニュージーランドのマイクロクライメット(小地域気候;地域により気候が大きく異なる)を感じますし、チリ産同様、球根の状態に合わせて使用時期を考える必要があります。
ひとつの品種が1か所で生産されていれば、輸送も情報も(私の調査も…)簡単で良さそうですが、その分リスクは高くなるでしょう。(ということもあって全ての生産者と大なり小なり取引をしています。きっと使い方が重要で、チリがいい、NZがいいという簡単なものではないのでしょう。)

来年(2010年)は、出荷期の需要見込みから、SH球の抑制栽培(1月以降植え)による4‐5月出しが重要になる年だと思われます。今回 集めたデータをもとに、最後まで最適な状態で球根をお届けできるよう、品質担当と共に調整にがんばります!
ちなみに、収穫が早い年ですが、安定温度に下がる前に輸入するのは危険なように思います。また、日本での気温も考慮し、あまり無理をした植え付けをなさらないようお願いいたします。

□その他

ニュージーランドで7月15日に起きた、マグニチュード7.8の地震ですが、各生産会社とも震源地からは距離があり、被害はありませんでした。ラカイア(バンザンテン社)では、天井からぶら下がった電気がゆ~らゆ~らと揺れた程度で、ニュージーランドでは平屋の家が大半ということもあり、関係者で個人的にも被害にあった方はいなかったようです。

※略語の意
IB:アイランドバルブ社
VZ:バンザンテン社
BK:バッカー社
SF:サザンフローラ社