株式会社中村農園

レポート・球根情報



ニュージーランド出張報告(2018/1/15)

お客様各位

ニュージーランド出張報告

2018年1月15日
株式会社中村農園
中村 慶吾

 平素よりお世話になっております。
 1月11日~13日に、ニュージーランドの球根生産会社を訪問し、圃場調査を行ってまいりました。以下、簡単にご報告させていただきます。

 

1.11月の乾燥で生育が中休み!?

 下記、月間気温と雨量のグラフを見ますと、全般に平年よりも気温が高く、11月にほとんど雨が降らなかったことがわかります。南島の球根生産地、ラカイア地区から1時間ほどのクライストチャーチ空港では、11月~12月上旬まで47日も雨が降らず、100年を超える観測史上、最も乾燥した11月でした。 この気象はアイランドバルブ社の位置する、北島のヘイスティング地区でも同様で、今シーズンは相当に潅水を行ったと言います。

 

 今回も球根生産会社のご協力により、販売球の全圃場を調査することができました。地上部の草丈はやや低い印象で、試し掘りにて肥大と根の張り具合を計測しましたが、例年に比べ全体的に肥大が少し遅れている結果でした。一般的に、人が行う潅水だけでは球根肥大に十分ではないと言いますので、11月の球根生育は中休みしていたのかもしれません。
 今回、調査中に注目したのが下根です。乾燥によって茶色く萎れた根を想像していましたが、まだ短い最近出てきたものや、白く太い根が多く、生産者の適切な管理と努力で、球根へストレスを与えなかったのだと感じました。
 春から高めの気温が推移し、生育ステージに遅れはなく、平年通りの時期に摘蕾され、これから真夏へ向かいます。12月後半からまとまった雨も降っており、1月前半現在は、平年よりやや涼しい気温が続いています。生育パターンだけで考えますと、2018年NZ産は、リン付の多かった2016年産よりも、現在お使いいただいている2017年産に近いかもしれません。

 

2.オールド・ドライ・クリーク(昔の干上がった小川)

 2017年7月12日付“ニュージーランド出張報告”でも少し触れていますが、南島の生産者は近年“冬植え”栽培を行っており、2018年産も一部が7月に定植されました。通常の9月(春)植えに比べ、発芽時期が早く、2年栽培と似た生育スケジュールとなります。ところが、定植後の7月下旬にラカイア地区では2日間で120㎜を超える雨が降り、山側でたまった雨が小川を作り、球根圃場の一部を地表ごと流してしまいました。こうした、特殊な天候の時だけ現れる小川をドライクリークと呼んでいて、60年以上経験しなかった事だそうです。
 7月の出張報告にあるトラクターの写真が、まさにその場所だったので驚きですが、生育が始まる前の出来事だったので、流されなかった球根に影響はなく、写真の通りきれいに片づけられていました。

 

 1月~2月上旬は、現地の学校が夏休みに入っており、出張時、空港も街も人がいっぱいでした。観光が人気のNZは近年の物価上昇で、生活するには決して安くないそうですが(テイクアウトのお店の500㎜ペットボトルが3.2ドル≒250円など)、ゆっくりとした時間の流れる美しい国でした。

以上